母から相続した不動産の一つ
昨年、他界した母は公正証書で遺言を残していました。
生前、元気な頃、公正証書を作成するにも数十万円の費用がかかると言っていたのを覚えています。
兄私妹の3人兄弟が仲良く暮らしていってほしいという願いが込められた渾身の遺言でした。
38歳で未亡人になった母は、父の遺した建設会社を引き継ぎ、不動産売買も手掛けていました。
当時、昭和40年代後半は、田中角栄首相が、日本列島改造論を唱え、土地を買って持っておくだけで高騰する時勢でした。
いわゆるキャピタルゲインのみで資産を増やしていけるという目論見が蔓延していました。
時代の流れとともに、不動産に対する捉え方も変わってきていたのに、母は、昔の考え方で、土地を寝かせてて、上がったら売ればいいと考えていたようです。
私と妹が共有で相続したのは、3つの不動産でした。
その内の一つが今回の【家いちば】で売却できました。
初めて現場へ行って見た驚きの相続物件
奈良県の高級住宅地として知名度のある市にある80坪の更地。
住所だけ見ると、どんなに価値ある土地かと想像していまいます。
しかし、実際に行ってみて愕然となりました。
旧の村落の入り組んだ中の突き当り、番地は飛び地で車のナビでもgoogleナビでも
たどり着けないのです。
八方ふさがりのような所に行ってしまい、近隣の住民に住所を見せて教えてもらうにもあやふやな答え。
普通車では入っていけない細い道を直角に曲がらなければ行けない。
車を空地に止めて歩くこと数分。目的地の直前には急な下り坂がある。
これは軽自動車で来てもお腹をするね、、と姉妹で苦笑。
80坪にはとうてい見えない、草ぼうぼうの荒れ地。
隣接する山の土が、長年の雨風で侵入してきているのです。
兵庫県に住む妹と大阪に住む私が二人でこんなややこしい土地をどうしたらいいのか、困り果ててしまいました。
不動産屋さんに売却依頼してみたら、100万で売れたら御の字。
買い手を見つけるのは難しいとの返事。
地目は宅地なのに、何も建てていないので、固定資産税は6倍になっています。
水道は手前までしか来ていない。ガスは使うとしたらプロパンガス。トイレはくみ取り式。
電気は、敷地内に関電の電柱が立っているので、迷惑料を1年に1500円、3年分をまとめて4500円が振り込まれている。
くみ取り式っていっても、バキュームカーが入って来れないのと違うの??
こんな所に家建てて住んで、具合が悪くなっても、救急車も入ってこれないよ、、
第一、家建てる工事の車が入って来れるのかどうか、、
早く手放さないと、固定資産税と市に払う草刈り代が毎年持ち出しになります。
原野商法(げんやしょうほう)に騙されていたのかも
<原野商法とは>
原野などの価値のない土地をだまして売りつける悪徳商法
母が土地を買ったいきさつは、近い将来、近くに大学が移設されてくるという話でした。大学が来ると、賑わって土地の価値も上がるだろうと簡単に購入したのでしょう。
かつて、成田に空港ができると決まった頃、「原野商法」がはびこったそうです。
空港ができたら土地値が上がるとふれこみ、およそ関係のないへき地を高く売りつけた悪徳業者が多かったようです。
母の場合も、大学が来たらと「原野商法」に引っかかったのかも知れません。
2004年に480万円で購入して以来、17年間で累計200万円以上の固定資産税を払い、草刈り代など50万円以上の維持費を使ってきています。
それが、今回130万円で売却することになりました。
売れただけでも御の字という難題でした。
【家いちば】への掲載
箸にも棒にも掛からない土地に困り果てた妹が、早く売却したいと言い出しました。
そこで、不動産を売りたい人と買いたい人のマッチングサイト「家いちば」に掲載してみました。
家いちばの仕組み
売りたい人が直接、家いちばに物件情報を掲載して、買いたい人はそれを見て、直接売り手に問い合わせるというシンプルな仕組みになっています。
- いつでも思いついた時に、気軽に物件の掲載ができる。
- 売り出し価格が決まっていなくても掲載できる。
- 自分の不動産でなくても掲載できる(本人の許可は取る必要がある)
- どんな場所でも、どんなに古くても掲載の条件がない。
- 家の中が片付いていなく売れる状況でなくても掲載できる。
- 売るとは決まっていないが、金額次第で売ってもよいと考えている。
家いちばでかかる費用
基本料 ・・・ 売主 8万円 買主 6万円
媒介報酬料・・・ 通常の仲介手数料の半額
その他・・・司法書士による登記やローンを組む場合の諸費用
<媒介報酬料の計算方法>
売却価格400万超の場合・・・3%+6万 → 1,5%+3万
売却価格400万以下の場合・・4%+2万 → 2%+1万
売却価格200万以下の場合・・5% → 2,5%
家いちばに掲載してみて
掲載すると、非常に多くの方から問い合わせが殺到します。
一人一人に返信していくのにかなりエネルギーが必要です。
その内、誰になんと答えたかさかのぼって調べたりする必要が出て、混乱してしまいます。新規の問い合わせを休止して、決まった数名の方に絞ってやり取りを進めました。
結局、買うかどうかわからないが、質問攻めの人が多く、疲弊していまいました。
そして、必ず買いたいと言って下さる方に買っていただきました。
現地で初めてお目にかかり、いい人に買っていただけて本当に助かりました。
さいごに
「家いちば」というサイトのおかげで、素人の困っている不動産所有者が救済されていると思います。
空き家問題解決の一助にもなっています。
購入者は、思いがけない安さで手に入れた不動産を自分用にカスタマイズできます。
古い建物なら、DIYを楽しんだり、更地なら畑や日曜大工の工房を作ったりと、趣味に
隠れ家にと、夢が膨らむことでしょう。
不動産は、キャッシュフローを生み出さないと、固定資産税や維持管理費が持ち出しになり、困ったお荷物になってしまいます。まさに負動産です。
現在は、投資として、リセールバリューを大きく求めるのが難しいので、キャッシュフローに重点を置くべきですね。
また、相続をさせる場合は、絶対、子どもたちの連名にしないことです。,
長寿時代、相続を受けた子どもといっても、高齢者になっています。
自分たちが他界した後、その子どもたち(孫)が相続して、人数が増え益々ややこしくなります。
意見が分かれ疲れ果ててしまいます。
一人一人に個々の独立した不動産を残すようにするべきだと学習しました。
「家いちば」は、”負動産”だった空き家問題に夢を与える注目すべき事業だ。と大前研一氏も評価しています 。