不動産に携わっていると、色んな人生模様を垣間見ることができます。
一緒に収益物件探しをしている仲間Aさんに相談を受け、現地に駆けつけました。
高齢のご夫婦、商売が上手くいかず、持ち家を手放すことになったようです。
売却したお金で債務を支払い、どこかに借家を探し、生活保護を受けて暮らすとのことでした。
持ち家があると生活保護が受けられません。
まさに老後破産とでも言うのでしょうか、たいへんお気の毒なことです。
でも、引越しにもお金がかかりますし、長年住み慣れ、思い出が詰まった家を
手放し離れるのは、身を引き裂かれる思いでしょう。
借家探しも老夫婦には大きな労力が必要です。
そこで、提案したのは、そのまま住み慣れた家に住み続けもらい、
家賃をいただくというのはどうでしょう。
生活保護を受けるなら、政府がきちんと住宅費として援助してくれます。
仲間のAさんは、思いつかなかった名案に膝を打ちました。
即決、仲間Aさんがその家を購入、そしてそのまま老夫婦に住み続けてもらうことで
一件落着いたしました。
仲間Aさんは、費用のかかるリフォームや面倒な客付けをしなくて済むので
タナボタのような話になりました。
商売の基本は、三方良し。
近江商人の考えで、皆が利益を得ることができるような
ビジネスを目指すということの見本のような取引でした。
この場合の三方は、老夫婦・仲間Aさん・不動産屋
不動産取引の下には、社員の報酬、司法書士報酬、取得税(公金)
諸々のぶら下がりがあり、経済効果にも貢献しているのです。
老夫婦には、今までと極端に変わらぬ穏やかな暮らしを続けていただきたいと
願うばかりです。
Aさんは、何年も経った今でも、一番利回りのいい物件になっていますと、私にお礼を言ってくれます。